フルスクワットで下までしゃがむことができない場合の原因とは?

筋トレ

こんにちは!

パーソナルトレーナーの門井です。

みなさん、踵を地面につけたまま深くまでしゃがむことができますか?

いわゆる“和式便所座り“、トレーニングの種目名でいうと“フルスクワット“と言います。

フルスクワットは可動域を大きく使えることからトレーニング効果も高く、筋力だけでなく柔軟性、重心制御や関節の動きの制御等の身体の連動性が必要な種目のため、ボディメイク・機能改善の両方でセッション中、私もよく用います。

実はこの動き、幼い頃は無意識にやっていた方が多いのです。

幼少期の子供を見ると、地面に落ちている石を拾ったりするときにこの動きを自然に行なっているところをよくみられると思います。

では、もともとできたはずのこの動き、なぜできなくなってしまったのでしょうか?

考えられる原因の例を挙げていきたいと思います

例1)関節可動域・股関節

考えられる原因の一つ目は股関節の可動域です。

股関節は“深めのお椀にボールがはまっている“ような形状をしています。

このため、他の関節よりも自由度が高く、さまざまな方向に動かすことができるのです。

しかし、「自由度が高い」というのは悪く言い換えれば「不安定」と表すこともできます。

その不安定さを補うために関節の周りには筋肉や靭帯、関節包と呼ばれる軟部組織が存在します。

これらが協調的に働くことで、お椀からボールがこぼれ落ちないようにボールがお椀の中心を捉え続けるように関節内部で回転するように動くのです。

しかし、後方側(お尻側)の組織がなんらかの原因で硬くなってしまうことでボールが押し出され、お椀からこぼれ落ちそうになります。

すると今までは滑るようにスムーズに動いていたのに、前側にボールがずれてしまったことでスムーズに動かなくなったり、前方の組織を挟んでしまったりします。

「股関節が詰まる感じがする」という方は、このパターンの方が多いです。

前方の筋肉(大腿直筋、腸腰筋など)が硬くなってしまうことでも前方の組織を挟んでしまって“股関節の詰まり“を感じるというパターンもあります。

他にも股関節を安定させるための筋肉が弱化しているというパターンも考えられます。

この場合は下半身を使う動作全般(歩行、ランニング、スクワットなど)でお尻が側方にスウェイするなどのエラーが出ることが多いのも特徴です。

例2)関節可動域・膝関節

膝関節を最後まで、曲げることができない方も当然フルスクワットはできません。

この場合、痛みがある方は原則痛みを取ってから関節可動域を獲得していく流れになってきます。

膝が曲がらない原因としては膝の周囲組織の拘縮が考えられます。

膝には衝撃を緩和したり、関節の動きをスムーズにする働きを持つ“膝蓋下脂肪体“という組織があります。

この組織は膝を曲げるときに関節の内部へ、膝を伸ばすときには膝蓋骨(膝のお皿)のすぐ後ろに移動します。

年を重ねたり、衝撃九州によるダメージの蓄積などによって硬くなってしまって動きが悪くなると、膝の動きを邪魔してしまい曲がりにくくなってしまうのです。

それだけではなく、この膝蓋下脂肪体には“痛みを感じるセンサー“が多く存在しているため、硬くなってしまうことで痛みを感じてしまうことも多いです。

他にももも裏の筋肉(ハムストリングス、中でも大腿二頭筋)や膝裏の筋肉(膝窩筋)が硬くなることで太ももの骨と脛が外側に捻れてしまい、痛みを発したり動きを阻害するパターン。

上記のような位置関係の乱れや筋肉の発火パターン(力の入り方や順番など)が変化したことで半月板の動態に影響を及ぼし、動きが出なくなってしまうパターンなどがあります。

例3)関節可動域・足関節

しゃがめるところまでしゃがむと「足首が詰まる感じ」がする方や「脛がめちゃくちゃ張る」方の場合はこのケースが当てはまる場合が多いです。

原因は“足首後面の組織の拘縮“というものが考えられます。

単純にふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、趾屈筋群など)が硬いパターンやアキレス腱と踵の骨の間にあるケーラー脂肪体が硬いパターンがあります。

足首を反る時は、距骨と呼ばれる骨が滑車のように滑ることで最大まで稼働することができるのですが、上記の組織が拘縮していると距骨の後方への動きを制限してしまい、“足首が詰まる‘という現象が起きます。

他にも脛には脛骨・腓骨という2本の骨があるのですが、この間にある膜が硬くなることでも距骨の動きを阻害し同じ症状が起きます。

また、足首前面の組織にも問題があるパターンもあります。

筋肉は腱となって骨に付着しているのですが、足首の前面には複数の腱をまとめるバンドのような組織(伸筋支帯)があります。

このバンドと腱の癒着によって腱がスムーズに動かなくなってしまうことも原因の一つとして考えられます。

例4)関節可動域・骨盤 & 脊椎

骨盤と脊椎(特に腰椎)は協働して可動します。

骨盤が前に倒れるときは腰が反り、反対に骨盤が後ろに倒れるときは腰は丸まります。

フルスクワットの際は、太ももが地面と並行のラインを越えた辺りから骨盤は後ろに倒れ、腰は丸まっていきます。

その為、“腰を丸めることができない“、“骨盤のコントロールができない“という問題を抱えている方は股関節と骨盤がぶつかってしまいそれ以上しゃがめないという現象が起きるのです。

腰を丸めることができないかどうかは立って前屈をしてみるとよくわかります。

横から鏡を見たり、写真を撮ったりしてみると、腰を丸める能力が適切にあるかがわかります。

このような方は腰痛を発症しやすい傾向もあるため、注意が必要です。

例5)重心制御

スクワットとは抜重、つまり、重さを抜いていく動きになります。

体重計の上で素早くしゃがんでみてください。

一時的に数値が下がり、体重が軽くなったと思います。(すぐ戻る)

“重さが抜ける“ということは、足底にかかる圧が減ってしまい、感覚薄くなります。

その中で適切に重心を制御しなければならないのが“スクワット“という動作なのですが、制御がうまくできないとバランスが取れなかったり、ぎこちない動作になったり、身体が過度に緊張してしまうなどのエラーが発生します。

そのような方は逆に重りを持つとやりやすいと感じたりします。

足底への情報量が増える為、重心制御がしやすくなるんですね。

まとめ

今回はフルスクワットで深くしゃがめない方に考えられる原因を解説しました。

例外としては今回挙げた関節を怪我している場合(捻挫、変形性膝関節症など)です。

特殊なケースも存在していて、アキレス腱が生まれつき長い・硬い方もフルスクワットができない場合があります。

黒人選手などに多いらしく、この形態のおかげで爆発的な瞬発力、ジャンプ力を出力できているのだそうです。

間違えて欲しくないのは、この方々はスポーツ動作時はしっかり足首が反ることができているということです。

大きな力が加われば動くことができ、その分強い反発力を産みます。

アキレス腱をゴムに例えていうと、生まれつきゴムの強さが輪ゴムかタイヤのチューブかの違いがあるというような感じです。

ちなみにこの人たちがフルスクワットする際は踵を高くする楔のような形のツールを踏んで行います。

これは足首の可動域に問題を抱えている方にも使える方法になります。

フルスクワットにこだわりすぎる必要はありませんが、優れた種目であることも確かです。

無理して行うとフォームが崩れて怪我のリスクもあるため充分に気をつけながら行いましょう!

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