前屈で手が床につかない=もも裏が硬いからストレッチ←これって本当に正しい?

機能改善

こんにちは!

パーソナルトレーナーの門井です。

突然ですが、あなたは前屈(立位)で床を触れますか?

触れなかった方は、

「もも裏が硬いからストレッチしないと…」

と思うかもしれません。

ですがそれ、ちょっと待った!

原因はそれだけではないかもしれません。

今回は前屈で床を触れない原因と、その問題がどんなことに影響するのかを解説します。

前屈の動作分析

まず、前屈とは全身の動きが協調的に働くことで起きる複合動作です。

例を挙げると、

  • 身体後面の筋肉の柔軟性(背中、もも裏、ふくらはぎなど)
  • 股関節や背骨の可動性
  • 感覚系による重心制御能力

など、様々な因子が絡み合っているため、前屈をできない原因も様々で、複数ある場合がほとんどです。

意外と多いのは床に手はつくけど足から離れているパターン。

その方に

「頭を足に近づけてください」

「手を足の指先に触れるようにしてください」

というと「できない」と答える場合があります。

こういう方の場合、もも裏(ハムストリングス)の柔軟性は高いのですが、

・背骨(胸椎/腰椎)が正常に丸まらないパターン

・骨盤が後方移動しないパターン

大体この2つに当てはまることが多いです。

背骨が正常に丸まらないパターン

1つ目の背骨の問題の場合は、背中の筋肉の緊張が原因だったり、背骨についている深層の筋肉が活動していないことによって分節的な可動ができないことが原因だったりします。

背中の筋肉の緊張は運動、ストレッチで解消できることが多いです。

例えば呼吸のエクササイズ。

腹筋を活性化させると反対の筋肉の背筋群は抑制されるという仕組みを利用して介入をします。

筋肉が緊張してしまっている場合はこのような介入を行うことが多いです。

また、物理的に筋肉の長さが短くなっている場合もあります。

その場合はストレッチが適応になるので、しっかり伸ばすことで改善できます。

深層の筋肉が不活性化している場合は、活性化させるために運動をして、適切な動き方を再学習することで改善します。

同じ原因でも、緊張を抑制させたり、逆に活性化させたりと、きちんと細部まで”前屈ができない’’という現状の原因を深掘りすることが大切です。

そうしないと、真逆の介入を行なってしまい、状態が良くならないどころか悪化する危険性すらあるのです。

骨盤が後方移動しないパターン

骨盤が後方移動しないパターン方は、股関節の可動性の問題や、重心制御がうまくできないこと、前屈をするときに”骨盤が後ろに移動する”という身体の動きの認識、つまりボディイメージが形成されていない場合があります。

股関節の可動性は周囲の筋肉の活動を活性化し、大腿骨頭の可動性を獲得することで改善することが可能です。

重心制御に関しては感覚系が深く関わっており、

「足の裏の体重を感られるか」

「頭部の位置を適切に認識できるか」

「重心が移動したり頭部の位置が変化しても身体の緊張を抑制できるか」

などが関わっています。

簡単にいうと、身体の”センサー”がうまく強調して活動できているかが大切です。

ボディイメージの問題の場合は、骨盤を後ろに引くように徒手的に誘導すると簡単に足の指先に触れられるようになったりします。

ボディイメージが及ぼす様々な影響

このような、自分自身の身体の位置や動きを正しく認識する”ボディイメージ”は運動においてとても重要になってきます。

これは普段の姿勢でもいえることで、崩れてしまった姿勢で長い時間生活すると、

「その姿勢が自然で姿勢である」

と脳がボディイメージを誤って認識してしまいます。

こうなるといわゆる”癖がついた”状態になり、猫背や巻き型、反り腰などの不良姿勢の形成につながります。

きれいな姿勢とは、本来は重力や直立二足歩行など、人間が地球で生活する上で”楽な姿勢”です。

しかし、その方にとっては今の不良姿勢が”自然”なため、きれいな姿勢を取ろうとするとむしろどこかが疲れてしまったりするのです。

そうなると肩こりや腰痛の原因になったり、仕事や運動のパフォーマンスが低下したりします。

姿勢が崩れしまっている方に限らず、運動パフォーマンスがなかなか上がらない方もこのボディイメージがうまくできていない場合があります。

必要なのは正しい”ボディイメージ”を再学習すること。

これは客観視してくれたり、それを細かく適正に評価できないとなかなか達成できないのです。

まとめ

今回は「前屈がつかない」状態の方の身体にどんな原因が考えられるか、そしてその原因が身体にどんな影響を及ぼすかを解説しました。

途中でも書きましたが、原因をしっかり深掘りして”その方”が今どんな状態なのかを評価できなければエクササイズが逆効果に働くこともあります。

もちろん「ストレッチは悪だ!」というつもりは毛頭なく、あくまでその方の体にとって本当に必要なのか?が大切なのです。

私は個人的にエクササイズ自体には善悪はないと思っています。

そのエクササイズをする明確な理由と目的にずれがなければ“その方にとって良いエクササイズ“になります。

反対に、どんなエクササイズでも目的を違えているんであれば“その方にとっては良いエクササイズではない“ということです。

身体の動態を知り、そしてその方の身体の特徴をしっかりと評価できるパーソナルトレーナーが介入することで、効果的で効率的なボディイメージの改善が期待できます。

このようなところがパーソナルトレーナーという職業の価値の一つだと私は考えています!

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